弁護士 山本衛 On Court

JTAスペシャルイベント管理規程(管理細則)

各種スポーツ競技団体はそれぞれ規程を定めており,その競技団体に何らかの形で所属する者は,当該競技団体が定めた規則の規律を受けます。規程に基づいた処分がなされた場合には不利益を甘受しなければならない場合もあります。処分を争う場合にも,各種規程は所属者と競技団体との法律関係・権利義務を考えるうえで法源となります(具体的にどのような場合に処分が取り消されうるかは,別稿に譲ります)。
したがって,スポーツ団体の所属者は,規則をきちんと知っていることが望ましいです。
テニスの場合には,日本テニス協会のホームページに載っているほか,毎年発行される「JTA TENNIS RULE BOOK」に規程が収録されています。

今日は,その中から,スペシャルイベント管理規程(管理細則)についてご紹介したいと思います。

・・・以下,JTAテニスルールブックより抜粋・・・

スペシャルイベント管理細則

第1条(目的)
 本規則は,スペシャルイベントが,JTAが承認する公式トーナメントの開催を妨げることなく,円滑に運営されることによってトーナメント界の秩序を保ち,ひいては,我が国テニス界の健全な発展に寄与することを目的とする。

第2条(定義)
 スペシャルイベント(以下イベントという)とは,JTAが承認し,JTAが公式に発表する年間「カレンダー」に記載されている公式トーナメント以外のテニス競技のうち,内外の著明プレーヤーが出場するものすべてをいう。
● 内外の著名プレーヤーが指導者として参加するテニススクールの中で行われる模擬試合については,当該テニススクールの宣伝物に,その模擬試合実施のことが記載された場合はイベントとみなす。ただし,この場合,その著明プレーヤーが当該テニススクール主催者の社員若しくは従業員であるときはこの限りではない。
● 内外の著名プレーヤーとは,日本人のプレーヤーについては,イベント開催初日の3ヵ月まえ時点における,最新のJTAランキング50位以内の者,外国人プレーヤーについては,前述同期日における,最新のATPまたはWTAランキング200位以内の者,または,ATPあるいはWTAランキングの過去における最高位が20位以内であった者をいう。

第3条(申請)
 主催者は,イベント初日の,原則として3ヵ月まえまでに,当該イベント開催地の属する都道府県テニス協会とその協会が属する地域テニス協会の文書による同意を得た上で,所定の申請書に必要事項を記載し,本規則第5項に定める承認料を添えて,JTA宛に提出しなければならない。
● 申請書記載に当たっては,出場プレーヤー全員の名前を必ず記載しなければならない。

第4条(承認)
 テニス界の健全な発展に寄与すると判断できるイベントの申請については,JTAは可能な限り承認し支援するが,下記のいずれかに該当するものについては承認しない。
① その日程が,全日本テニス選手権大会,全日本室内テニス選手権大会,ジャパンオープン,またはジャパンウィメンズオープンの本戦日程と1日でも重複しているもの。
② その日程が,国内で開催される,国際テニス連盟,アジアテニス連盟,または東アジアテニス連盟の主催または公認トーナメントの本戦日程が1日でも重複しているもの。
③ その日程が,国内で開催される,ATPあるいはWTA承認トーナメントの本戦日程が1日でも重複しているもの。
④ その日程が,同一地域内で開催されているJTT大会の本戦日程と1日でも重複しているもの。
⑤ その日程が,同一地域内でなくても,当該イベントの開催地の隣県(都,府も含む)で開催されているJTT大会の本戦日程と1日でも重複しているもの。ただし,本規則では,海を隔てている場合は隣県とはみなさない。
⑥ 同一都道府県内はもとより,当該イベント開催地の隣県(都,府も含む)で開催されている,賞金額が100万円以上のJ1大会の本戦日程と1日でも重複しているもの。
⑦ 申請書記載に不備のあったもの。

 ただし,上述②~⑥については,主催者が,そのイベント開催について,その日程が重複するトーナメント主催者の承諾を得ている場合はその限りではない。

 JTAは,申請のあったイベントについての内容を検討し,申請の可否を判定する。
 ただし,検討の際,地域及び都府県テニス協会がその開催に同意していた場合でも,JTAの判断で承認しないことがある。承認した場合は,JTAは主催者に対し,承認証書を発行する。

 JTAは,その承認証書のコピーを,当該イベント開催地の属する都府県テニス協会及びその上部団体である地域テニス協会に送付する。

第5条(承認料)
 承認料は以下のとおりとするが,開催趣旨によっては減免されることがある。
 ① 当該イベント承認申請書,あるいはその宣伝物等に明示された賞金総額の10%
 ② 前項に関し,賞金総額の明示がない場合は,原則として,550000円(税込)とする。
 ③ 明示された賞金総額が日本円以外の場合は,申請時の東京地上為替レートによって日本円に換算するものとする。
 ④ 主催者は,承認料を申請時に一括納入しなければならない。

第6条(主催者の義務)
 承認を得た主催者は,主催者が発行するあらゆる公示物(トーナメント要項,PR物,プログラム,場内タイトル看板等)に,「JTA承認」を明示しなければならない。

第7条(競技役員等の派遣又は斡旋)
 JTAは,主催者の要請があれば,競技運営に堪能な,公認審判員等の競技役員の派遣又は斡旋について,積極的に協力する。
 ただし,その経費等は主催者負担とする。

第8条(日程の調整)
 イベントの日程が重複する場合,JTAは,主催者の要請があれば,当該主催者同士による談合の斡旋,または日程調整等に協力はするが,その結果については責めを負わないものとする。

第9条(罰則)
 本規則に違反したイベントは,直ちに承認を取り消す(直ちに非承認になる)ことがある。

第10条(JTA関係者への制約)
 非承認イベントには,JTA関係者は一切関与してはならない。
 本規則でいうJTA関係者とは以下の者をいう。
 ①JTA役員・・JTAの発行する役員名簿にその名前が記載されている者
 ②JTA選手登録者
 ③JTA公認資格者(公認審判員,公認指導員)
 ④地域テニス協会,都道府県テニス協会並びにこれら協会に加盟している団体役員。当該協会または団体が発行している役員名簿に,その名前が記載されている者

第11条(JTA関係者への罰則)
 非承認イベントに関与したJTA関係者への罰則は以下のとおりとする。
 ①前条に記載定義されている役員
 1)初回の場合は役員としての活動停止6か月間。
 2)2回目の場合は解任。
 ②選手登録者
 1)初回の場合は,公式トーナメント出場停止6か月間。
 2)2回目の場合は選手登録抹消。
 ③JTA公認資格者
 1)初回の場合は,資格者としての活動停止6か月間。
 2)2回目の場合はその資格剥脱。

第12条(罰則審査)
 罰則の適用については,その都度JTAで特別委員会を組織して審査し,常務理事会で決定するものとする。

第13条(改廃)
 この細則の改廃は,常務理事会の議決を経て行う。

・・・引用終わり・・・

JTAのホームページを見ても見当たらず,現状,JTAテニスルールブックだけにしか載っていないのであまり知られていないと思いご紹介しました。
この規程は,法律家として拝見させてもらうと,形式的にも内容的にもいろいろと申し上げたいことはあるのですが,ひとまずそれは措いて・・・余り知られていないにもかかわらず,かなり重い罰則(11条)が定められているので,関係者は注意が必要です。なかなかプロテニスツアーが開催されない中で,様々なイベントなども今後民間により企画されていくことも予測されます。その場合の落とし穴になりかねないので,関係者の方はぜひ知っておいた方がよいと思います。

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