本日は,第27回日本スポーツ法学会が京都の同志社大学で行われました。
従前参加するだけだった学会ですが,今回は研究発表をさせていただきました。
「NFにおける肖像権・パブリシティ権規程のあり方について」という演題で,山田安人先生(第一東京弁護士会・ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所)と共に研究発表を行いました。
この研究は,第一東京弁護士会スポーツ法研究部会の有志で行ったもので,いつも選手会法務関係で個人的にもお世話になっている堀口雅則先生(第二東京弁護士会・東京21法律事務所)のリーダーシップのもと行った共同研究です。
この研究は,NFにおける肖像権の取り扱いを定める規程の一例を提案するものですが,現在各NFが定めている肖像権・パブリシティ権に関する規程に不十分なところも見られ,肖像権・パブリシティ権を持つ者の権利と十分な調整ができているかについて疑問を感じて研究を始めたのが出発点でした。
この研究を通じて私もかなり勉強させてもらいましたが,特にパブリシティ権はプロスポーツ選手の価値を考えるうえで極めて重要な要素であり,きちんと選手自身がこれを享受できるように制度設計をしたり,場合によってはマネジメント会社等と利害調整をしたりといった法的サポートが必要であるように思います。
NFが選手らの肖像・パブリシティを利用できる範囲というのは限られると思いますが,NFとしても,選手自身の肖像利用を尊重して過度な制約を避ける一方,肖像権やパブリシティ権の保護について必要な規定を定め,選手の肖像利用等による当該スポーツの価値向上を促進するような規程ぶりが求められるところです。
さて,自分の研究発表以外には,アスリートマネジメント契約の法的性質をその目的と民法の典型契約との関係から論ずる解釈論に関する研究や,CAS(国際スポーツ仲裁裁判所)の事例研究,スポーツ団体の倫理規定の研究など,興味深い研究にいくつも触れました。
学会大会は「競技団体のグッドガバナンスと民主的意思決定」という題目で,講義とパネルディスカッションによって行われ,新川達郎先生,齋藤健司先生,境田正樹先生,早狩実紀さんというそれぞれ違った立場の先生方の意見交換を間近で聞くことができました。
さて,こうして自分にとって非常に有意義な学習になった当学会でしたが,終了後の懇親会で「先生方の発表は熱意と思いが伝わってきました」というような言葉もかけていただきました。自分なりにはちょっと準備不足かなあと思う発表の出来でしたが,少しでも考えるところを伝えられていれば嬉しいです。
今回,肖像権とパブリシティ権を研究しましたが,これを機に,少しテニスに特化して個人的に研究を進めていきたいと思いました。