【執筆書籍紹介】情状弁護アドバンス

 私が著者の一人として加わった,情状弁護アドバンスが発売されました。

 簡単に書籍を紹介すると,罪を認めて軽い処分を求める事件(情状事件)について知識が網羅されている書籍です。
 見どころは,具体性です。これまで,どういう弁護活動をすればよいかを抽象的に記述した書籍はたくさんありました。しかし,「じゃあ,この罪はどういう処分が予測されるの?」「被害者に会いに行ったとき,どういう言葉を選べばいいの?」「反省というけど,反省って何なの?どう表現すればいいの?」などについて,実例を交えながら具体的な言葉で提案し,これまでの書籍では届かなかった「かゆいところ」がたくさん書いてある書籍となっています。

 若干の裏話をすると,この書籍,執筆者がそれぞれ分担した原稿を持ち寄ったものではありません。執筆者同士の議論をほとんどそのまま書いたものなのです。各章の項目自体は非常にありふれたものですが,実はそれぞれの項目について1回あたり何時間も執筆者同士の経験や工夫を話し合い,詳細な議事録を作成し,その議事録をほぼ書き起こすような形で整えています。ですので,極めて具体的な工夫や実践が記載されることになったのです。
 相当の労力を費やしましたが,これまでにない本になっていると思います。

 さて私ですが,正直,情状事件よりも,無罪を主張する事件(否認事件)の方が好きです。情状事件でもそれなりの成果を出してきたとは思いますが,否認事件の方が得意です。戦っている方が好きなのです。
この事件の執筆者に誘われたとき,なぜ自分が情状弁護かという気持ちにも一瞬なりました。ただ,情状事件にも戦う精神が必要です。罪を犯した人にも寄り添い再出発のために尽力する情状弁護の精神にプラスして,戦う精神を全体に注入できたのではないかとは思っています。
 刑事事件を取り扱う可能性のあるすべての弁護士(つまりほとんどの弁護士!)にお勧めの書籍となっています。弁護士の皆様方,ぜひ手にとってみてください。


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