弁護士 山本衛 On Court

四日市チャレンジャーとテニスの価値

 先週の7日水曜日,三重県四日市市で開催された四日市チャレンジャー大会を見に行ってきました。
 四日市チャレンジャーは今年から始まった大会で,全日本男子プロテニス選手会所属選手も多く出場していました。観戦好きな私の個人的な興味としても,また選手会監事として今後を考える意味でも,非常に有益な視察になりました。
 以下,雑感を述べたいと思います(法律の専門家としての話ではないので,ライトにお読みいただければ幸いです)。

 まず最初に,大会を招致した日本テニス協会の方々に最大限の敬意を表したいと思います。
 チャレンジャー大会は,ATPツアーレベルの大会のすぐ下の大会で,招致には開催要件面,費用面など多大なご苦労があったと思われます。
 このレベルの大会が日本で見られる機会が一つでも多くあること自体,大きな価値があります。
 会場の四日市テニスセンターの施設も素晴らしく,想像していたよりもずっと多くのファンが詰めかけていました。

 さて内容について,当然ですがものすごくレベルの高いテニスを見せていただきました。
 グランドスラムをはじめとするツアーレベル大会も何度も観戦していますが,チャレンジャーもまたトップクラスに等しいプレーを見られる大会であると感じます。普段グランドスラムに出場しているような選手も出場しているのですから当然と言えば当然かもしれません。と同時に,若手選手を中心とした日本人の有力選手のプレーも幅広くみられるのは本当に魅力的です。
 さらに大きな大会に比べてとても貴重なのは,選手との距離が近い!どのコートも選手の息遣いや独り言まで聞こえてくる距離で,高いレベルのプレーを楽しむことができました。

 これだけ大きな価値のある大会,なんとなんと,入場無料でした。
 見るほうにとっては一見うれしいようですが,しかし,これは私自身はあまり良いことだと思っていません。
 このレベルのプレーが無料で見られるものとされている現状が,テニスの競技としての価値を下げてしまっていないか,と思うわけです(学生割引・無料はあってもいいと思いますが)。
 入場料収入を放棄することは,その分の大会運営収入を下げることになります。大会運営収入を下げることになれば大会運営コストを下げようということになり,大会はミニマムに開催されることになります。運営に割けるマンパワーは減り,ともすれば,市民大会のようにテニスをやっている場所を解放しているだけのような状態になりかねません。
 この日気温はとても高く,飲み物を2リットルくらい飲みました。のどが渇くたびに,会場から100mくらい離れた体育館横にある古びた自動販売機で飲み物を買いました。もし飲み物を売る出店があったら,僕はお金を払ってジュースを買っていたでしょう。お昼はコンビニで買ったおにぎりにしました。もし食べ物の出店があったら,ちょっと割高なケバブを喜んで食べていたと思います。
 お金をお客さんからいただくかわりに,飲食なども含め総合的に会場のエンターテイメント性を高め,ショーアップにもお金をかけてもっと試合を魅力的にし,お金を払ってでも来たい大会にすることはできると思います。大会がそういう大会であることで,プレーしているプロ選手,プロテニスそのものがもっと価値あるものになっていくはずです。野球やサッカーはもちろん,もっとマイナースポーツでもそういう努力をしているスポーツもあります。テニスにできないはずはありません。
 そして,そういう環境の中でテニス観戦を楽しめることは,私たちテニスファンにとってもプライスレスな価値を生むはずです。

 強調しておきたいのは,ここで書いたことは大会に対する批判をしたいということではありません,ということです。
 四日市チャレンジャー招へいはかなり短いスケジュールで決まったものと思いますし,そうでなくても,上で書いたようなことは様々な事情によりすぐに実現できるようなことでもないだろうと思います。日本でこのような大会があること自体に大きな意味がありますし,感謝しなければいけません。
 私がこの記事を書いたのは,来年以降はこのポテンシャルをもっと生かしてテニスの価値を上げるチャンスにできるのではないかという思いからです。もっともっと広報宣伝してお客さんを集めて大会を盛り上げ,チャンレンジャー,フューチャーズ,国内大会がどんどん価値のあるものになっていってほしいです。

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