私も執筆者の一人として携わった書籍が出版されました。
刑事弁護をやっていると,医学や科学の専門的知識が問題になることがあります。
多くは「鑑定書」などの表題で証拠書類になっており,我々のような文系の(笑)職業である弁護士にとっては,なかなか難解であるものも多くあります。また,こうした証拠は一見科学的な正しさを備えているように見えやすく,ひとたび採用されれば裁判において大きな効果を持ちます。
しかし,実は,こうした科学的と言われる証拠にも誤りが生じることがあります。弁護士が科学的証拠をきちんと吟味して見極める力を持っていないと,誤った科学的証拠が採用され,裁判所が誤った判断に陥る可能性もあります。
この書籍は,初級者の弁護士向けに,難解な科学的証拠を吟味する方法を伝えることを目的に作りました。
主要な科学的証拠である法医学,交通事故,DNA,指紋足跡,薬物について,それぞれの鑑定書の見方,鑑定書に現れる誤りの発見の仕方を伝えています。そして,科学的証拠の弾劾方法や証人尋問の方法など,実践的な記述も充実しています。
さらに,弁護側として科学的証拠を積極的かつ効果的に使うためのノウハウも記載しています。
近年,科学的証拠が重視される事件は多くなってきているように感じます。
一人でも多くの弁護士に手に取っていただき,科学的証拠をきちんと吟味するための一助になれば幸いです。