昨日,第一東京弁護士会総合法律研究所スポーツ法研究部会の主催する研修会「スポーツ不祥事における調査・処分手続について~処分経験が少ないスポーツ団体のために~ 」に参加しました。
同部会が過去の不祥事の処分事例などについて分析研究し,その結果をもとに,参加者とディスカッションする形で行われました。同研究には,私も微力ながら加わりました。
研修会は,全国各地大小さまざまなスポーツ団体の方々に参加していただきました。皆さん熱心に議論に参加されており,大変盛り上がりました。
近時,スポーツ関係の不祥事が取り上げられるようになり,メディアを賑わせるようになりました。
こうした不祥事にはスポーツ団体が独自の処分をすることになりますが,様々な問題があります。
まず,スポーツ団体が不祥事を起こした選手や関係者を処分するための適切な規律を持っているかどうか。その規則や,規則に基づいてなされた処分に不合理なところはないか。処分される側の選手や関係者にきちんとした手続の保障がなされたかどうか,といった点です。
こうした手続は刑事手続にも似た構造があり,法律家が力を発揮する場面です。実際に,昨日の研修会でも,刑事事件の概念を使ったたとえがたくさん用いられていました。
処分をする側のスポーツ団体に法律家として助言をする場合には,処分が後で取り消されたりすることがないよう,その処分が適正手続に則って行われ,処分内容も合理的なものであるよう,各種規程や過去の事例に基づいて助言する必要があります。
一方,不祥事を疑われる側の選手や関係者の代理人となった場合には,徹底して疑われた側の権利利益を守らなければなりません。不祥事を疑われた選手や関係者がメディアでのバッシング等を受けている場合など,法律家がその権利利益を守る役割を担うことにはたくさんの困難が伴いますが,しかしこれを果たさなければなりません。
そして,きちんと戦った結果,スポーツ団体側の処分が取り消される事例も少なくありません。捜査機関や裁判所による刑事手続と異なり,まだまだスポーツ団体の処分はきちんとした処分の手続が確立されていないというのが現状だと思います。法律家の活躍が望まれます。