日本スポーツ法学会大会

 本日は,京都の同志社大学で開催された,日本スポーツ法学会の大会に参加してきました。
 日本スポーツ法学会は,スポーツ法に携わる専門家で構成される団体です。弁護士はもちろん,学者や医療などの専門家,大学院生などスポーツ法学に関連する様々な分野の人たちが参加しています。大会では,各専門家が研究結果を発表し,様々な問題について議論しました。

 午前中は自由研究発表が行われました。
 私が参加したいくつかの発表について紹介したいと思います。

 まず「スポーツドクターを対象とした性同一性障害に対する知識と治療経験に関する検討」と題する研究発表を見ました。
 スポーツ選手で性同一性障害を抱える選手に対するスポーツドクターとしての知見について語られていました。実は今,性同一性障害を抱えた方の訴訟を担当しています。そうした事情もあり,興味深く発表を聞きました。

 次に聞いたのは,「スポーツベッティングとスポーツ界におけるインテグリティ保護~イギリよびアメリカネバダ州を中心として~」と題する,スポーツにおける不祥事の研究です。
 インテグリティと言えば,テニスに関して,TIU(テニス・インテグリティ・ユニット)による腐敗防止の取り組みがなされているところであり,スポーツ法の分野でも興味深い分野となっています。テニスに関する腐敗防止については私も非常に関心のあるところです。

 次に,「スポーツ中のプレイヤー同士の事故をめぐる近時裁判例について」という研究発表を聞きました。
 近時の裁判例というと,プレー中の接触事故に関するバドミントンの裁判例が想起されます。
 スポーツ中の事故については,判例・裁判例の蓄積により一定の方向性が示されているところではありますが,発表者の弁護士がこれを的確に整理していました。
 同じラケットスポーツであるテニスの立場からは,バドミントンに関する近時の判決は興味深いところです。これについては,私もテニスにも関連する問題として何らかの意見をいずれ述べようと思っていますが,同様の状況が生じうるテニスにも影響を与える裁判例であると思われました。

 同じくスポーツ事故の分野で「公立学校教員の責任追及の可否について」という研究発表がなされました。
 国公立学校の職員について,その個人責任を追及する方法,追及した事例について紹介され,その要件などが議論されました。
 学校の部活中の事故が訴訟などになる事例は,後遺症や死亡などの結果が生じており,痛ましい事件が多いものです。発表された事例もそうした事例でしたが,その中で法律をどのように解釈して,どのような枠組で責任を判断していくかは,とても難しい問題であると思いました。

 午後は,スポーツ法とジェンダーをテーマに,性的マイノリティとスポーツの関係について,各専門家から発表がなされ,パネルディスカッションも行われました。
 
 朝5時に起きて新幹線に乗り,懇親会まで参加し,日帰りで今東京に戻る最中ですが,大変充実した一日になりました。


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