このサイトを公開して以後,自己紹介ページ(https://yamamoto-defender.com/page-21/)をご覧になった方から,一橋大学の法科大学院学習アドバイザーとは何ぞや,一橋大学の教員になったのか,と尋ねられることがありました。
法科大学院での学習アドバイザーとは,簡単にいえば
現役の学生に司法試験に向けた学習の指導をする実務家
をいいます。
何人かの学生をゼミ形式で一人のアドバイザーが担当し,試験問題などを題材にしながら議論します。
教員,というほどたいそうなものではありませんが,しかし母校へ恩返しをすべく誇りと責任を持って取り組んでいます。
私の所属する事務所に以前所属していた大先輩の弁護士は,私が学習アドバイザーをしていることについてこう言っていました。
「山本君,その仕事はたとえ無給でも絶対に続けた方がいい」
これはだいぶ昔の前ですが,その言葉の意味がようやくわかってきた気がします。
まずはもちろん,母校の後輩のために自分の力を使えるということです。
法律の使い方,判例の読み方,法的に思考する力,僕が弁護士として活動するための基礎的な力は,すべて法科大学院で学ばせてもらったといっても過言ではありません。僕が法科大学院で学んだことを少しでも後輩のために役立てたいと思っています。
そして,アドバイザーの仕事に携わることは,ほかならぬ自分自身のためになります。
過去のブログの記事で,実務家になっても勉強や研究は重要なのだと書いたことがありました。しかし,それでも日々の業務に追われて,理論的な勉強はおろそかになってしまいがちです。学習アドバイザーの仕事では,取り上げたテーマについて,文献や判例を調べます。もちろん最新の判例があればそれを参照します。それをもとに,フレッシュな学生と議論を深めるのです。もちろん私が教える立場ではあるのですが,こうした議論から私自身が得られるものも多いのです。
司法試験は,覚えたことを吐き出す試験ではありません。考えたことを表現する試験です。考えて表現することは,今の私自身の仕事に直接的につながっています。そういうことを少しずつ伝えることで,後輩たちがよりよい答案を書き,そしてよい法律家になってほしいと思っています。