弁護士 山本衛 On Court

刑事事件の弁護士費用

◆ 刑事事件の依頼を検討している方へ

 私が刑事事件の依頼を受ける場合、所属する東京ディフェンダー法律事務所の弁護士費用規定に則っております。
http://www.t-defender.jp/fee/
 費用については幅のある記載となっております。
 どうしても、刑事事件は個別の事件によって弁護活動の難易が異なってきますので、こうした記載を取らざるをえません。
 ただ、もちろん実際にご相談いただき、事件の内容をお聞きすることができれば、明確な弁護士費用を提示いたします。
 まずはお気軽にご相談ください。

◆ 刑事事件の弁護士費用に関する私の意見

 弁護士費用の設定については、法律事務所で様々な個性が見られます。
 以前は、各弁護士の報酬の標準を定める基準があり、多くの弁護士がこれに従った価格設定をしていました。
 しかし数年前、この基準は撤廃され、弁護士費用の設定は自由になりました。

 費用の設定が自由であることはとても重要です。
 費用の設定が自由であることによって、各弁護士事務所が、よりたくさんの人にご相談に来ていただくことができるようなな価格設定を競争します。
 価格設定に対して、よりよい法的サービスを提供できるように法的サービスの質をも向上させます。
 こうして、全体として見れば、より安価でより良い法的サービスにアクセスすることが容易になるのです。

 ただ、一般の方にとっては、様々な法律事務所の情報が乱立する中、どの事務所、弁護士を選ぶかは難しいと思います。
 正直、私から見て、事件の性質に比較して極めて過大な弁護士費用を請求していると思われる法律事務所は存在します。
 事件の着手の段階でかかる費用は少なくても、細かな報酬を請求され、予想外に高額の費用となるケースも聞きます。
 そして、費用の高い安いは、残念ながら弁護士の能力の高い低いと比例してはいません。
 他方で、事件の内容によって高度な弁護活動が要求される場合、どうしても費用が高額になってしまう場合もあります。

 重要なことは、初回の相談時などにきちんとかかる費用について細かな説明を受けるということです。
 そして、できれば、法律事務所一つではなく、複数に相談をしてみることが大切だと思います。その事件でどんな弁護活動をしてくれるのかも含めて聞いて、比較することが重要です。

 このように、最も重要なことはホームページを比較することではなく、実際に弁護士に会って比較することです。
 が、ホームページを見ている限りでも、問題に思う価格設定を目にすることがあります。それについて、以下にいくつかをお話ししたいと思います。

「保釈が認められた場合,保釈保証金の●パーセントを報酬とする」

 保釈とは、起訴後、拘束されている被告人を釈放するための手続です。一定の保釈保証金を裁判所に収めることで、裁判まで拘束を解放されるのです。
 この保釈保証金の金額は裁判所が決めますが、その際に弁護人が裁判所と交渉するのが一般です。依頼人の負担が少しでも少なくなるよう交渉します。裁判官が200万といったら、150万で何とかなりませんかと交渉します。
 ここで、保釈金の額の何パーセントという報酬基準だったらどうでしょうか。弁護人が交渉すればするほど弁護人の報酬が下がってしまいます。弁護人に依頼人のための粘り強い交渉が期待できるでしょうか。
  弁護人は依頼人の利益を追求する義務を負っています。ですから、弁護士の報酬は依頼人のための活動と連動する必要があります。
 相手から回収した額の●パーセント、とか、無罪の場合は●円、という報酬の定め方であればよいのですが、依頼人が負担する保釈保証金を基準に報酬を決めると依頼人の利益と弁護士の利益が相反してしまうのです。
 弁護士は、依頼人の利益と自分の利益が相反する事件を受任してはいけない義務があります。弁護人の役割は、依頼人の利益のために活動することだからです。事件自体の利益が反しているわけではありませんが、具体的な弁護活動の場面で依頼人との間に利益相反が起こるような価格設定は、このような弁護人の義務・役割に反していると思います。

「捜査弁護の着手金●円(ただし,接見3回まで)」

 捜査弁護とは、裁判になる前の弁護をいいます。身体拘束されている依頼人に弁護人が会いに行って(「接見」といいます)取調べに対する対応をしたり、身体拘束から解放されるための活動をするのが中心になります。ですから、接見は捜査弁護の最も基本的な活動です。
 あなたが歯医者に行って「痛かったら,左手を挙げて教えて下さいね。ただし、3回まで。4回目からは追加で費用が発生します。」といわれたらどうでしょう。痛いって言いにくくなりますよね。そもそもそんな歯医者には次からは行かないかも知れませんが。
 接見も同じです。犯罪を疑われ、拘束された依頼人は孤独です。一度でも多く接見に来て欲しい。しかし、3回までしか基本料金で来てもらえないのなら、接見に来て欲しいと言うのを躊躇してしまいます。そういう状況で、果たして依頼人のためにベストな弁護ができるのでしょうか。
 そもそも、捜査段階の弁護活動で接見3回で十分な活動をできる事件は、少なくとも私の経験上は、ありません。正しい弁護活動をすれば最初の3日で使い切ってしまう事件もたくさんあると思います。
 弁護人には、受任した事件について依頼人のために最善の努力をする義務を負っています。受任しているにもかかわらず最大限の弁護活動を躊躇させるような価格設定は、この義務に反するおそれがあるのではないかと思っています。もし4回以上接見するには費用が十分でないなら、もっと最初から高い費用をいただいて、その費用でできることはすべてやる。接見回数の制限などもしない、というほうがよっぽど健全だと思います。

 刑事事件の弁護士費用の設定は自由であるべきです。
 しかしそれは「依頼人のため」という弁護士の本分に反するようなものであってはいけないと思います。

 なお、私及び私の所属する事務所では、保釈の報酬はいただいておりませんし、接見回数の制限はありません。
 事件自体の着手金をいただけば、必要な弁護活動はすべて行います。

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