弁護士 山本衛 On Court

取調べ可視化 シンポジウム

「取調べ可視化」という言葉をご存知でしょうか。

罪を疑われて逮捕された人は、通常、警察官や検察官などの捜査機関から、取調べを受けます。
狭い部屋に、何人もの刑事に囲まれて座らせられます。
取調べを拒否する権利はないと考えられています。
無実を訴えても、疑われた人を怒鳴りつけ、脅し、騙し、あるいは甘い言葉で利益誘導をし、ありとあらゆる手段で罪を認めさせようとすることは、ごくふつうにおこなわれています。
このような取調べが行われていることは、過去の事件から優に明らかになっています。
この取調べを、20日以上もの間、毎日することができます。
朝から晩まで、することができます。
弁護士が隣に立ち会うこともできません。
孤立無援の密室で、捜査機関と戦わねばなりません。

戦える人もいました。
しかし、取調べの厳しさに耐えられず、うその自白をしてしまった人もいました。
裁判で話せばわかる、と考えてのことでした。
裁判では、必死に無実を訴え、取調べのひどさを訴えました。
しかし、裁判で取調べ担当官は「そんな取調べはしていない」といいました。
どんな取調べが行われたかは誰にもわからなくなりました。
そして、何人もの無実の人が、うその自白をもとに、有罪になっていきました。

たくさんの無実の人が有罪になっていったことは、歴史が証明しています。
近年、無実が明らかになり、裁判のやり直しにより釈放された方が続出しています。
私は、それすらも、氷山の一角だと思っています。
むかしの出来事ではありません。
私は、事実を否認する事件をたくさん担当してきましたが、捜査機関から、脅しや利益誘導などといった問題のある言動がなかったことは、たったの1度もありません。
そのたびに依頼人を励まし、捜査機関に抗議してきました。

どうすればひどい取調べがおさまるのでしょうか。
どうすれば無実の人がうその自白で有罪になることを防げるのでしょうか。

前置きが長くなりました。
「取調べ可視化」とは、密室の取調べを見えるようにすることです。
取調べの状況をカメラで録画して、弁護人も裁判官もチェックできるようにするのです。
ひどい取調べは収まり、うその自白で有罪になることを防ぐ重要な手段になるはずです。
本日は、この「取調べ可視化」に向けた市民集会の宣伝の投稿です。

2014年9月22日 18時30分から20時30分
霞が関所在の弁護士会館にて
取調べの可視化を求める市民向けの集会がおこなわれます。
だれでも参加可能です。
集会といっても、身構えるような内容のものではありません。
可視化とは何か?なぜ可視化が必要なのか?今、日本の取調べ可視化の現状は?今後の課題は?「可視化」を市民の皆さんにおつたえするための集会です。

今年3月、死刑囚として拘束されていた袴田巌さんの裁判のやり直しが決まり、釈放されました。
一日15時間ものひどい取調べを受け、嘘の自白をしてしまいました。
無実の罪で死刑判決を受け、48年間もの拘束を受けていました。
想像するだけでもつらい、耐え難い悲劇です。
集会では、袴田さんのお姉さんが、失われた48年間についてお話しされます。
きっと、衝撃を受けると思います。

無実の罪で有罪になった方の裁判のやり直しが決まった例はこれだけではありません。
また、捜査機関による不当な取調べも次々に明らかとなってきています。
このような流れを受けて、いよいよ「可視化」が法制度化しようとしています。
集会の後半では、法制化に携わった有識者によるパネルディスカッションを予定しています。
非常にき興味深いものになるでしょう。私も楽しみです。

私自身も、この集会の企画に携わり、当日も、すこしではありますが、登壇してお話をさせていただくことになりました。

この記事をご覧の皆様、是非、お気軽に足を運んでいただければと思います。

Return Top